2009 年 8 月 11 日 のアーカイブ

神の守人

2009 年 8 月 11 日 火曜日

ぱてぃさんのブログで発売されていることを知ったので、さっそく本屋へ走りました。
運良く下巻はラスト一冊をゲット!
一晩で一気読みしました。

上橋菜穂子さんの「守人シリーズ」の5作目。
一作目の「精霊の守人」を友人に勧められて読んで以来、ずーっと追っかけてる大好きなシリーズです。
今回は異界から川の流れに乗ってやってくるあらぶる神を、その身に宿してしまった少女を巡る物語。

毎回思うんですが、上橋菜穂子さんの「守人シリーズ」は、本当にそういう国が彼女の知るどこかの世界にあって、覗き眼鏡か何かでバルサやタンダや名もない人々の生活まで、こっそり観察して書いてるんじゃないかと疑いたくなるほどリアルですよね。国や民族の生活様式の違いや文化・信仰の違いまでもがものすごくリアルに書かれているんですよ。
十二国記シリーズも世界の成り立ちや国の機構、人々の生活までリアルに書かれてるけど、あの世界は基本的に文化は同じなんですよ。国は12あるんだけど、その根幹にある心理というか、文化は一つしかない。どの国も同じ言語・文字を使うし、貧富の差、気候の差によって服装が変わることはあっても、物に対する美意識や価値観というものに、そう大差はないんです。
それが悪というわけではもちろんないです(だって、十二国シリーズも大好きだし。特に陽子が)。十二国シリーズの場合、「文化が一つであること」が物語成立の前提・絶対条件であるわけだし。ただ、一つの文化の中で展開する物語も面白いけれど、多種多様な文化が混在する世界で展開する物語は、どこかこの今の世界、現実の中でも展開されている物語のようにも思えて、限界がないような感覚を味わうことができるな、と。
そして、よくもこれだけの多種多様な文化を持つ国を考えだせたなと、「精霊の守人」を読んだときに感嘆したものです。
もっとも、上橋菜穂子さんの経歴を見て納得しましたけど。
アボリジニの研究をされてる文化人類学者。そりゃ、素地はしっかりしてる、プロだったんですね。納得。タンダやトロガイの存在やその世界観に、ほのかにアボリジニの創世神話がにじんで見えたのは気のせいじゃなかったんだ。

そういえば、昔、高校だったか短大だったかの頃にパトリシア・ライトソンの作品を読んだことがあったなぁ。アボリジニの少年が主人公の物語。「氷の覇者」「水の誘い」「風の勇士」の3冊だったと(←内容はおぼろげに覚えてるんだけど、タイトルが分からなかったので調べた)思うんだけど、この3冊もそこそこ面白かったかも。
ただ、当時あまりなじみのなかった「アボリジニ」の存在に引き寄せられた感は否めないかな。
うん。
守人シリーズの方が面白いな(爆)

そういえば、私は新潮社の文庫版で読んでるんですが、会社の人で一足早く偕成社の新書判で読了している人がいて、新潮文庫を買う私に逐一今後の展開を教えてくれます。部署がかわったのでネタバレされることがなくなったのが何より嬉しいかも(笑)