2009 年 4 月 27 日 のアーカイブ

アシュリー

2009 年 4 月 27 日 月曜日

日本でもフジテレビ等で何度か特集番組が組まれたことがあるのでご存知の方も多いかと思いますが、カナダのプロジェリア患者、アシュリー・ヘギさんが亡くなりました。享年17歳。奇しくも、彼女の母親が彼女を産んだ年と同じ年齢で、彼女は天国へと旅立ちました。

プロジェリアとは先天的な遺伝子異常により発症する病気で、通常の約10倍の早さで老化します。身長、体重の成長が乏しく、頭部形成不良や骨格・歯の形成不良、頭髪の白髪化・脱毛などの外見的症状が見られます。
(※詳しくはwikiのハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の頁を参照ください)

プロジェリア患者の平均年齢は13歳。通常の10倍近い速度で老化するということは、わずか13歳にして100歳近い年齢の体へと老化していくということになります。

アシュリー・ヘギさんもそんなプロジェリア患者の一人でした。
産まれて、この病気を発症してから、彼女の死へのカウントダウンは凄まじい勢いで開始されました。
私たちが当たり前のように思い描く「大人になったら」という未来が、彼女にはありません。
いつまで自分の命の火がともっていてくれるか分からない不安。まだ子供なのに言うことをきかない体。毎日服用しなければいけない大量の薬。
しかし彼女は、そんな自分の運命を悲観することなく、常に前向きに、一日一日を精一杯に生きていました。
「プロジェリアという病気をどう思っているかは、昔と変わってないわ。わたしがプロジェリアだということには、ちゃんとした理由があるの。神様が与えてくれたものだから、すてきなことなのよ。だから、わたしは大丈夫」
そうカメラに向かって語る彼女の姿はとても力強く、そう言い切れる彼女の心の強さに驚いたのを覚えています。

人はいつかは死ぬ。それは誰にもさけられない事実。だからこそ彼女は一日一日を心に刻みながら懸命に生きていたのでしょう。
彼女が魂に刻み込みように生きた一日と、私が怠惰に漫画本を読んで過ごす一日。時間的な長さは一緒でもその濃度にはもしかしたら雲泥の差があったのかもしれません。
ただ漫然と日々を過ごすことは彼女のようにどんなに望んでも未来を手にできない人にとってはどんなに「もったいない!」ことなのかと、考えずにはいられないニュースでした。
17歳で天国に召されたアシュリー。
「うまく言えないけど、死ぬのは悲しいことだけど、必ず訪れるものだと思うの」と言っていたアシュリー。
彼女の魂が安からんことを。
ご冥福をお祈りします。

先に書いたように、プロジェリア患者はその病気の特性故に特異な風貌をしています。
私が初めて彼女のドキュメンタリー番組を見たとき、彼女は13歳でしたが、同い年の幼なじみよりもはるかに低い身長しかなく、それでいて、老人のように血管の浮き出た細い腕やしわの刻まれた顔、数本しかない歯に驚いたのを覚えています。
この記事を書くにあたってプロジェリアのことを調べていたら、偶然、Yahooの質問掲示板に彼女のことを書いている人を発見しました。
この人は彼女の風貌をさして「きもい。裸祭りでさらされる男性器とどこが違うのかわからない」と「大変な病気なのはわかるが彼女の風貌は生理的に受け付けない、こんな番組を放映するのはいかがなものか」と書いていて、正直、怒りを覚えました。
生理的に彼女の外見を受け付けないというのは、個人の感覚ですから、百万歩譲って納得するとして、それを裸祭りの男性器と同列に扱うというその神経が理解できません。
また、自分がそんな病気でなくてよかったとこの人は書いていますが、自分はそんなご大層な外見をしているというのでしょうか。貧しい精神しか持たない人の外見は、自ずとそれに似合う貧しいものになっていくと私は思っています。
この人が我が身を振り返り己の未熟を恥じるだけの矜持を持ち合わせていることを願います。